産業廃棄物処理業・各リサイクル法の許可申請を
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知識や設備だけじゃない。産業廃棄物収集運搬業許可は資金力も大切。

産業廃棄物収集運搬業許可申請 経理的基礎
▲産業廃棄物収集運搬業許可の「経理的基礎」の基準について書いています。

産業廃棄物収集運搬業の「経理的基礎」ってなに?

工場などから排出された産業廃棄物を収集して中間処理施設などへ運搬するときは「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。
この許可を取得するためには、4つの要件を満たす必要があります。
その4つの要件は、
・欠格要件
・知識と技能
・施設
・経理的基礎
をいいます。
4要件の概要はこちらからどうぞ

今回は、このなかの「経理的基礎」とは何なのか?どのような基準があるのか?について見ていきたいと思います。

普段あまり聞くことのない「経理的基礎」とは何なのでしょうか?
簡単に言うと「産業廃棄物収集運搬業をきちんと続けていけるだけの資金力があるんですよね?」というイメージです。

業務を行うには車両の維持費や人件費などのコストがかかるわけですが、途中で資金が足りなくなって産業廃棄物の適切な処理ができなくなってしまい山中に不法投棄されてしまった。というようなことが起こらないようにするために資金力でも要件を設けています。

資金力があるってどうやって証明するの?

それでは事業を続けていけるだけの資金力があるかどうかをどうやって判断するんでしょうか?

この資金力があるかないかの基準は自治体によって違いがありますが、
・利益が計上できていること(=債務超過(赤字)になっていない)
・または自己資本比率※が10%を超えていること」
で、申請の際に以下の書類を提出することで証明していきます。

※自己資本比率:貸借対照表の純資産の額を、純資産の額と負債の額の合計額で割った値
法人の場合は直近3年分
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本変動計算書
・個別注記表
・法人税の納税証明書
・確定申告書の写し(別表1、4)
を提出します。

個人の場合は直近3年分
・所得税の納税証明書
・確定申告書の写し
・源泉徴収票の写し(事業主として所得がないとき)
を提出します。

これらの書類により経理的基礎があると判断できないときは税理士、中小企業診断士、公認会計士が作成した経営改善計画書を追加して提出していくことになります。
この場合はこれらの専門家の方に作成を依頼する費用も考慮しておかないといけません。

経理的基礎の基準で気をつけたいことは?

経理的基礎について気をつけたいことですが、ふたつ挙げてみました。

・自治体によって基準や書類が違う。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、各都道府県(または政令市)が管轄しています。
そのため、判断の基準や必要な書類が異なることがあります。積み込む場所を管轄する自治体と降ろす場所を管轄する自治体が異なる場合、それぞれで違う書類を添付しないといけない可能性がありますので、それぞれに事前に確認しておかないといけません。

・経営状況を健全に保たないといけない。
決算書の内容が赤字続きだったり、債務超過の状態だと許可が下りにくくなってしまいます。
また、許可を取得した後も5年ごとの更新時に審査がありますので日頃から経営状況を健全に保つようにしましょう。

まとめ(経営を健全に保つことが大切。)

いかがでしたか?

「経理的基礎」とは、産業廃棄物収集運搬業を安定して経営するための資金力を証明するためものです。

許可の取得を検討される際は申請先の自治体によって判断の基準や必要な書類に違いがありますので事前に要件を確認することが大切です。

また、許可を取得した後も事業の持続と更新許可の取得につなげるため、日頃から経営状況を健全に保つようにしましょう。

この記事を書いた人
松本景文(土地家屋調査士・行政書士)

富山の廃棄物やリサイクル法など環境関連の手続に力を入れている化学工場出身の土地家屋調査士・行政書士です。
複雑でわかりにくい手続をコラムとしてわかりやすく日々発信しています。
温泉行きたい。ガンプラほしい。野菜育てたい。筋トレ好き。そんな人です。
2025/3/4