産業廃棄物処理業・各リサイクル法の許可申請を
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産業廃棄物収集運搬業許可の「施設」
運搬車両と運搬容器の基準

産業廃棄物収集運搬業許可申請 運搬基準
▲産業廃棄物収集運搬業許可の「施設」の基準について書いています。

産業廃棄物収集運搬業の「施設」ってなに?

工場などから排出された産業廃棄物を収集して処分場などへ運搬するときは「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。

この許可を取得するためには4要件という要件が決められていて、
・欠格要件
・知識と技能
・施設
・経理的基礎
となっています。
4要件の概要はこちらからどうぞ

今回はその中の「施設」の要件について書いてみたいと思います。
この「施設」は収集運搬業の場合は運搬に使うトラックなどの車両や産業廃棄物を入れるためのフレコンやドラムなどの容器のことです。

この車両や容器はなんでもいいというわけではなくて「こういう対策ができているものを使用してくださいね。」や「こういう表示をしてくださいね。」という基準が決められていて、それに合う車両や容器を使わないといけません。

今回はその基準について見てみたいと思います。
なお収集運搬業許可は「積替え保管なし」を想定しています。

「運搬車両」の基準は?

それではまずは使用する運搬車両についての基準から見ていきましょう。
廃棄物処理法に収集又は運搬についての基準が定められていて、
・飛散、流出しないようにすること
・悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障がないように必要な処置を講ずること。

となっています。

収集した産業廃棄物が運搬中に舞い上がって飛び散ったり、廃液が流れ出たりして周辺の環境に悪影響を与えないように適切な方法を用いてくださいね。ということですね。

わかりやすいところだと産業廃棄物が固体なのか液体なのか?です。
たとえば、工場からでた廃液を収集するのにダンプ車を使うとするとどうなるでしょう?
(あり得ないと思いますが・・・)
もしその方法を用いてしまうとあっという間に漏れ出てしまって廃液の性質によってはガスが発生して非常に危険な状態になってしまいます。
廃液を運ぶならたとえばタンクローリーを使うという選択肢が出てくるでしょう。

このように、産業廃棄物の性質をよく理解してそれに合った車両を選ばないといけません。

「運搬容器」の基準は?

次は「運搬容器」について見てみましょう。

こちらも運搬する産業廃棄物の性質に合ったものを使用しないといけません。

たとえば化学工場から出る廃液はドラム缶に入っていることが多いと思いますが、通常の金属でできたドラム缶だと強酸だとあっという間に腐食して漏れ出してしまいます。
(廃液を金属のドラム缶に入れることは考えにくいですけど・・・)
この場合はケミドラムを選択することになると思います。

同じように、何かを燃やしたあとの灰を運ぼうとするときにそのままトラックに積み込んで運んだとすると運搬中に風で舞い上がってしまいます。
この場合はフレコンに入れることになると思います。

このように、運搬するための車両だけではなくて産業廃棄物を入れる容器についても周辺の環境に影響を与えないような容器を選ばないといけません。

許可後は「表示」の基準もある。

ここからは許可を受けた後の「表示」についてのお話です。
取り扱う産業廃棄物の性質に合った運搬車両と容器を用意すればそれでいいというわけではありません。
許可を受けて実際に運搬を始めるときはその車両が「産業廃棄物を運搬している車両である」ことがわかるような表示をしないといけません。

この表示の場所や文字の大きさが細かく決められていて、運搬のためにかぶせたシートなどで隠れてしまわない車両の両側面に「産業廃棄物収集運搬車両」であることがわかる表示が必要
です。
表示の内容としては、
・「産業廃棄物収集運搬車両」であること
・○○株式会社などの「氏名又は名称」
・「許可番号(下6桁以上)
を識別しやすい文字で表示しないといけません。


街中を運転しているとこの表示をした車両をよく見かけますが、マグネットのステッカーを貼っている車両が多い印象です。
このステッカーは「産廃 マグネット」などで検索すると作成してくれる業者さんが見つかりますので探してみてくださいね。

さらに「書類の備え付け」も。

さらに許可後には運搬車両に書類を備え付ける義務もあります。
ここでは簡単に触れておきましょう。

実際に運搬する際には、
・許可証の写し
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)
を車両に備え付けないといけません。

産業廃棄物管理票は「マニフェスト」と呼ばれていて、産業廃棄物を排出する事業者が交付するもので、処理が完了すると処理業者からその写しが交付されて排出した産業廃棄物が適切に処理されたことを確認するものです。

近年では電子マニフェスト(紙のマニフェストを電子化したものでネットワークでやりするシステム)が増えてきて、その場合は加入証などの備え付けが必要です。

この辺りは許可後の話なので別の機会に触れましょう。

まとめ(産業廃棄物の性質に合ったものを。)

いかがでしたか?
産業廃棄物を収集・運搬する際には基準が決められていました。

・飛散、流出しないようにすること
・悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障がないように必要な処置を講ずること。
ということでした。

産業廃棄物を運搬中に廃液が流れ出したり、物を燃やした灰が飛び散ったりして周りに悪影響を与えないような対策を取らないといけません。

これから取り扱う産業廃棄物の性質をよく理解してその性質に合った車両や容器を用いて安全を確保するようにしましょう。

この記事を書いた人
松本景文(土地家屋調査士・行政書士)

富山の廃棄物やリサイクル法など環境関連の手続に力を入れている化学工場出身の土地家屋調査士・行政書士です。
複雑でわかりにくい手続をコラムとしてわかりやすく日々発信しています。
温泉行きたい。ガンプラほしい。野菜育てたい。筋トレ好き。そんな人です。
2025/2/23